産業廃棄物収集運搬業許可申請マニュアル
産業廃棄物を収集運搬する場合は廃棄物の積み降ろしをする都道府県で許可を受けなければなりません。
例えば
- A県 積込み → A県 処分 → A県の許可
- A県 積込み → B県 処分 → A,B県の許可
- A県 積込み → B県 経由 → C県 処分 → A,Cの許可
このように他県を通過する分には許可は必要ありませんが、積込みと処分をする都道府県はそれぞれ許可が必要になります。
これは元請から下請や委託をされた場合であって、自社で排出した産業廃棄物を自社の車両で運搬し、処分する場合は許可を取ることなく収集運搬することができます。
まず許可が必要かどうかを確認した上で、許可要件を確認し、申請準備を進めていきましょう。
1.許可の要件を確認
許可申請のためには要件をクリアする必要があります。
自分で申請する際や、行政書士に依頼しようと思っている場合も、要件をクリアしてから準備をするか、依頼の問合せをするとスムーズに進めることができます。
講習の受講
全国で実施されていますので近くの会場の実施日が過ぎていた場合は県外でも受講することができます。熊本の場合、新規講習は年に1回しか行われていないので時期を逃すと次の年まで待つか、県外に受講しに行くことになります。
受講できるのは個人の場合は事業主、法人の場合は常勤の取締役となります。
講習日程や申込みは「産廃講習会日程」で検索して頂くか以下からご確認頂けます。
5年後の更新の際も更新用の講習会受講が必要となるので、更新前2年間で日程を調整して受講しなければなりません。
http://www.jwnet.or.jp/workshop/
自己所有の車両が1台以上あること(リース車両のみ×)
車検証の使用者が申請者と同じである必要があります。所有者が金融会社であっても使用者が申請者であれば問題ありませんが、使用者が申請者でない場合は、車両の使用承諾書が必要になります。
運搬車両を他社と重複して登録することはできませんので、既に車両を貸している場合は車両の変更手続き後に申請しなければなりません。
事業場の地目が田、畑になっていないこと
事業場の所有者と地目確認のため土地の登記事項証明書を提出しますが、所有者が申請者以外の場合は使用承諾書を申請し、地目が田や畑になっている場合は農地転用の手続きが必要になります。
賃貸で使用する場合は契約前に確認しなければ、他人の土地を地目変更するのはなかなか難しいです。
経理的基礎を有していること
収集運搬業を継続的に的確に行うには経理的基礎有していなければなりません。
自己資本比率、直前3年の当期純利益、税金の納付状況で判断されるため、判断基準を満たせない場合は、不許可または収支計画書等の追加書類が求められます。→収支計画書
これは更新の際も同条件となるので新規の申請時だけ満たせばいいというものではありません。財務状況は常に把握しておきましょう。
欠格事由に該当しないこと
欠格事由の該当者が代表者のみではなく役員以上にいた場合は、申請はできません。
許可取得後に該当した場合もその時点で許可取消になりますし、隠した場合でも更新の際に発覚しますので更新はできず許可取消となります。
証紙貼付後に照会され、証紙代は返還されませんので十分に気を付けましょう。
更新の際に取消となるケースが非常に多くなっています。
2.事業計画
収集運搬業を的確に行うために事業計画書を作成します。
運搬量や運搬品目に合った計画でなければ受理されませんので、申請書類の中でもっとも重要な部分になります。
必ず記入例を確認し、不明な場合は直接確認された方がいいかもしれません。
ご自身で申請しようと考えている方はこの書類の作成ができずに途中で諦めて依頼されるケースがほとんどです。
従業員数、運搬車両、運搬費目、運搬容器、処分場等を明確にします。
3.書類作成
ここまで来れば申請書類に内容を記入していくだけなのでゴールは近いです。
申請書類は申請書と添付書類がありますので、熊本県のホームページから様式をダウンロードし、使用します。
全国で共通される書類はほぼありませんので間違いの無いようにしましょう。
作成する書類の裏付けとして取得しなければならない書類があるのでそちらも準備します。
用意する書類
- 履歴事項全部証明書
- 定款(事業目的に産業廃棄物の収集運搬業が記載されていること)
- 住民票(役員全員の本籍地記載のもの)
- 登記されていないことの証明書(役員全員)
- 納税証明書(法人は法人税、個人は所得税)
- 貸借対照表
- 損益計算書 直前3期分
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 講習会修了証(有効期限内のもの)
- 運搬車両の写真(真正面からナンバーが確認できるように全体を1枚、真横から全体を1枚)
- 車検証の写し(車検が切れていないか確認)
- 運搬容器の写真(運搬品目によって容器を使用します)
- 事務所、事業場の見取図と地図
- 事業場の土地の登記事項証明書(地目と所有者の確認)
書類の作成もしながら必要書類も準備しなければならないので、ちょっと面倒で時間がかかるかもしれませんが、記入例等もありますので自分でできないことはありません。
4.申請
全ての書類が揃いましたら、予約をして申請に行きます。
郵送やオンラインでの受付はできませんので、予約をして窓口での申請となります。
書類も少なくないので書類チェックには30分~50分ほどかかります。その日に受理されますが欠格事由の照会や車両、事業場等の審査を行うので実際に許可が下りるのは1ヶ月ほどかかります。
収集運搬業の許可は講習の受講から考えると許可が下りるまでに結構な時間を要するので、必要になってから講習日程を探していたのでは間に合わない場合もあります。
特に建設業者で解体業を行っている方や運送業をされている方は収集運搬業の許可を必要とされることが多いので早めにご検討下さい。
証紙代
- 新規許可 81,000円
- 更新許可 73,000円
- 変更許可 71,000円
※申請する自治体により書類の書式や手続きが若干異なりますので、申請の際には各自治体の担当窓口か行政書士にご相談下さい。